長田は影が薄い、といわれるがそれは間違っている。
彼は若くして伊賀忍法「隠遁（いんとん）の術」を極め、その術によって気配を消しているのである。おそらくゴルゴ１３の背後に近付くことのできる唯一の人物であろう。
本来の彼は決して存在感のない男ではあるまい。はるばる横浜から原チャリに乗ってポケットに通ってくる、その人間離れした行動力はまさしく「忍者」である。
難球が入ったときも穴前をとばした時も変わらぬ表情はきびしい鍛練の賜物ともいえるが、よく観察すると笑うタイミングにズレが認められる。
意外にも彼は弁護士をめざして勉強中のエリートだが、将来法廷に立った時わざとマヌケな顔をして検察官の気合いを抜き取る狙いがあるのかも知れない。
おそるべし。