長崎から東京に来て4ヶ月の新妻だが、すでに武蔵小山撞球隊の看板娘の座を不動のものにしている。簡単な球をミスったとき「きゃー。」などとカワイイ悲鳴をあげているが、これは世をいつわる仮の姿である。
彼女は亭主のウド久保田といっしょに来店し、椅子に座って亭主の練習を見守る。その光景はほのぼのとしている。
だが実態は違う。 彼女はそばに座り込んで亭主がミスるのをののしっているのだ。
その残虐非道ぶりは見る者を戦慄させる。
だがわれわれは知っている。彼女はキャンキャン叫んだあと、一人でこっそり涙する典型的な九州女性なのだ。
海のように深い愛を胸に秘めて、彼女は今日もポケットで亭主の帰りを待ち続ける。その姿はいじらしい。
盟友くまごろうとの間で交わされるメールは九州弁である。
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