「玉座」
これほど男の野心をくすぐる響きが他にあろうか。
中国後漢時代の「三国志」は、玉座に座ろうとする者や近付こうとする者、また転覆させようとする者たちの「玉座」を巡る権力闘争の歴史だったといえるかも知れない。
子供のころ、わたしは一枚の写真を見た。
インドの王様が玉座に腰掛けている。そしてその左右から二人の若い女性が大きなウチワで風を送っている。
これだ!!
わたしは玉座に憧れた。
月日はながれた。
百姓のセガレがどんなにあがいても玉座には座れない。そのことを知らなかったとはうかつ過ぎた。
わたしは「玉座」をあきらめた。
だが、あきらめるかわりに一計を案じた。
わたしは自分の椅子を「玉座」と呼ぶことに決めたのである。
夢はかなった。
上の写真がニコスの玉座である。
見よ、牛革の光沢。ダンディBOSSのファンクラブから贈られた花束は、大きなウチワで風を送る二人の女性をイメージしている。
だが・・・
秘かに帝王の座をねらう不届き者がいた。
またしてもこの男である。
それにしても神聖なる玉座でベロベロに酔っ払って沈没したのは、世界史上でこの男くらいのものだろう。
シーザーを害したブルータスなのか、イエスを裏切ったユダなのか、彼の心の裡にひそむ野心を我々は知らない。
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