なんてこともない8番から9番へのネキストであります。
手球は一応上図のあたりに置いてみましたが、フリーボールということでも構いません。
向こう側のクッションに入れて1クッションで出す。
いいんですよ。これが一番自然なショットかも知れません。
でもね。ひとつだけお尋ねしたいんです。
あなた・・・
手前のサイドにスクラッチしたことありません?
スクラッチしたら、後は簡単です。
天井を仰いで、あるいはサイドの穴を睨みつけて
「OK!」
ああ、スクラッチさえしなければ今ごろはタオルを持ってシャカシャカとブレイクキューを拭いていたものを・・・
あなたは崩れ落ちそうになる身体を懸命に支えてラックに向かいます。
ところがラックがちゃんと立たない。
あなたは別の球を持ち出して1番の頭をコツンコツンと叩いてみたりする。
イライライライライライライライラ
・・この日は終わりです。
悲しい思い出が脳裏をかすめたとき、あなたは考えます。
「そうだっ! 手前のサイドに届かないくらいの力で撞けばいいじゃん♪」
・・・結果は見え透いている。
残るのは9番極薄カットです。
「じゃ、じゃあ、ちょっと右とか下とか撞いてスクラッチをかわすのはどう?」
・・・そりゃまたずいぶん遠い球が残りそうですね。
次の9番、たぶん入りません。典型的な負けパターンです。
ちょっと下を撞いて右から大きく回します。
これならスクラッチはありませんし、多少力加減を誤っても手球の誤差の許容距離が長いので大事故には繋がらない。
じつはわたし、これを推奨しております。
さてここからが問題です。
わたしが上図のネキストを推奨する理由は、じつは他にもあります。そして当稿で申し上げたいのはその部分なのです。
冒頭の図で示したラインの場合、2クッション目以降手球はだんだん9番から遠ざかっていくのに対し、上図では手球が9番に近付いてきている。
これが大事なのです。
手球が次の球にだんだん近付いていくネキスト
それがいいネキストだとわたしは考えております。
例えば上図の場合ですと、サイドの少し右側になるべく厚く出すのが普通でしょう。
その場所に手球を運ぶにあたって、結果的に同じ場所であっても、次に狙う9番からだんだん離れていってその場所に止まるのとだんだん近付いていってその場所に止まるのとでは微妙な差が生じます。
それは「9番に対するイメージ」であります。
手球がだんだん9番に近付いていく。その方向こそは、次に9番を狙う方向と同じなのです。
上図の8番から9番をどうするかという問題です。
青線で示した「バタバタ」。これが普通でしょう。
いえいえ、いいんですよ。これでいいんです。
でもね。赤線のような方法もある。「切り返し」です。
「けっ! 何が悲しくて切り返さにゃいかんのだ。キザな球だな。」
皆さんはそうおっしゃることでしょう。
あっそ。
でも、この配置でこの「切り返し」を多用する選手がおられます。
それは、
ミカ・イモネンです。
あなた、それでも「キザな球」ってバッサリ切れますか?
イモネンがなぜここで「切り返し」を使うのか?
わたしなりに考えたのですが、ひとつは「なるべくしっかり撞きたい」ということでしょう。
この配置における8番は、いわゆる「サルでも入る球」です。こういう時こそせいぜいキューを出しておきたい。実際、青線のバタバタを「1」とすれば、赤線の切り返しは「1.5」くらいで撞く必要があります。
それともうひとつ。
バタバタよりも切り返しの方が、次の9番に対して向かっていくイメージが強い。
「本人に聞くのが一番だ。」と考えたわたしはイモネンに質問しました。
ところが、
「$*&”@!#%」
何をしゃべっているのかわかりませんでした。
ま、まあ、上手い選手の球を見て、「どうしてあんな事をするんだろう?」と考えるのはいいことです。
これが本日のさびしい結論であります。
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