ビリヤードを「ナンパの道具」と考える田中派の会長である。
愛車は二人乗りのベンツ６００、キューはジナ、洋服類もブランドで固めるなど、彼の生活は大量のナンパグッズと偏差値の低い女性に囲まれている。
彼は教育関係の会社社長である。この一点を見ても日本がいかに欺瞞に満ちた国であるかを証明していると言ってもいいだろう。
球撞きを始めた理由を聞かれて「ビリヤードのフィーリングがベストマッチなんです。」などとゴマカさずに「ナンパ目的」と言い切るあたり九州男児の面目躍如といえるかも知れない。
目的がはっきりしているだけに彼の球は派手である。
ビリヤードで最も地味なストップショットを好まず必ず二重回しを敢行し、手球は常に意味もなくヒネっている。
だが気の毒であるが、彼の球撞きはここまでが限界である。
理由は彼のガニ股にある。
右足左足がそれぞれ６０度づつ合計１２０度外を向いているのだ。そのため構えた時のヒザの絞りが思うにまかせず、これが彼の球撞きにとって致命傷になっている。
ああ、A級とSA級の間に高くそびえる壁の原因が「球」ではなく「股関節」にあったとは・・・
「マクベス」級の悲劇と呼んでも差し支えあるまい。