武蔵小山周辺で愛犬「ブーちゃん」と散歩する立川の姿を目撃した人は多い。いかにも平和な風景である。だが真実はちがう。彼は犬といっしょに家をツマミ出されてトボトボ とさまよっているだけなのだ。
心やさしい 立川は攻撃力が弱い。かと言って守備も弱い。ただひとつ「打たれ強い」という悲しい才能だけを持ち合わせてトボトボとポケットに通っている。
彼の球は理論的である。研究熱心でもある。一説によると、煙草のけむりを見て風向きまで計算に入れているといわれる。だが惜しいことに「イマジナリーポイント」を探し当てる能力に恵まれなかった。
かつて五反田の「ニッカ」との対抗戦の時、「全敗したヤツは武蔵小山までウサギ跳びで帰れ。」との指令が下った。
そして立川は全敗した。だが彼は「ウサギ跳びはヒザに悪い。」 などと彼一流の論説を展開して一歩も譲らず、一同をケムに巻いたのである。
こうした土壇場でのクソ粘りは、球撞きにおいては見受けられない。