小田、加藤、平川の３人は同じ会社で働き、いつも一緒にポケットに来て奥の台で撞いている。
初めて彼らに会った時、わたしは六本木あたりのホストだろうと思っていた。彼らのおかげで店の奥の方はコロンの香りにあふれ、それがちょうど便所のニオイ消しにもなるので、菅ちゃんは常に一番奥の台を勧めた。
だがたまに華台で撞くことがあると
「いやぁ、いいんですか？　ボクがここで撞いて。・・・・本当に？」
著しく恐縮する上に、試合中も「ナイスショット！」「ナイスタッチ！」 などのコールを忘れない。
「小田は見た目はじつにウサン臭いが結構いいヤツではないか。」
最近では、彼の評価は急上昇中である。
だがわたしの目は節穴ではない。
彼は票集めの挙句に、「小田派」を結成しようとたくらんでいるのである。
現在２名が所属しているが、今後減ることはあっても増えることはあるまい。彼の壮大な野望は徒労に帰す可能性が高い。