わたしはおっさんに田中貢太郎氏の言葉を贈りたい。
「男の胸の底には磊塊(らいかい)という女子供にはわからぬ塊(かたまり)ができるのであって、酒はこの磊塊にそそぐものである。」
酒をそそぎ過ぎて胃に大穴をあけたのが池田のおっさんである。
「彼の球撞きは」・・・などと書く以前に、もし球撞きに才能が必要だとすれば、おっさんは猿の国に行くしかあるまい。実際、彼をB級にすることはサルに因数分解を教えるよりもむずかしいと言われる。
だが超然として意に介さない。
球撞きも囲碁も釣りも、彼にとっては酒の「ツマミ」にすぎないのだ。
最近になっておそるべき邪念がおっさんを襲った。
「死ぬまでに1回でいいからマスワリしてみたい。」
言ってはならぬことを口走り始めたのだ。大いなる堕落、酒に対する裏切りである。
わたしはこの場を借りて断言しよう。
「その日は来ない!!」
囲碁はおそろしく強い。
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