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ガマの油




 

筑波山に「ガマの油」ってのがありましてね。
口上によりますと切り傷、湿疹、火傷、梅毒、しもやけ、インキン、田虫、痔、虫歯、刀傷などに効く。
まあ「万病に効く」というわけではなくて、効かないものもある。
それはハゲ、白髪、浮気、恋の病、だそうです。

 

「ガマ」というくらいだから蛙だろうと思っていたら、「我馬(がま)の油」という説もあってこの場合は馬の油ということになります。
大阪夏、冬の陣で使われたとか使われなかったとかいいますが、江戸中期から明治にかけては実際に売られていたそうです。

 

現在われわれは有名な口上によって「ガマの油」を知るばかりですが、かつては縁日などで「ガマの油売り口上」を実際に目にすることができ人気を集めたといいます。
「かつて」といっても、わたし自身子供のころに見た覚えがありませんので50年以上昔の話のようですし、今となっては時代劇にもほとんど登場しなくなりました。

 

これはつまり、縁日で口上で客を集めて物を売るわけで、テキ屋用語で言うところの「啖呵売(タンカバイ)」であります。
大阪天神祭りだったかで、なかなかいい啖呵の兄ちゃんから教わったことがありますが、これはけっこうむずかしいものです。

 



筑波山のガマの油売り口上

 

わたしは縁日をぶらぶら歩くのが好きなので「ガマの油売り口上」なんぞやっていたら飛び上がって喜ぶにちがいない。
「日本の伝統」とでも申しますか、こういうのに触れると心の底からホッとするものです。

 

せっかくなので有名な口上をご紹介しておきます。

 

『ガマの油売り口上』

 

サアーサアー お立合ご用とお急ぎのない方はゆっくりと聞いておいで。
遠出山越え笠のうち、聞かざる時は物の黒白出方善悪がとんと分からない、
山寺の鐘がゴーンゴーンと鳴ると言いども、童児来って鐘にしゆもくを当てざればとんとカネの音色がわからない。
サテお立合手前ここに取りいだしたるは筑波山名物ガマの油、ガマと申してもただのガマとガマが違う、これより北、北は筑波山のふもとは、おんばこと云う露草をくろうて育った四六のガマ、四六五六はどこで見分ける。 前足の指が四本、後足の指が六本合せて四六のガマ、山中深く分け入って捕いましたるこのガマを四面鏡ばりの箱に入れるときは、ガマはおのが姿の鏡に映るを見て驚き、ターラリターラリと油汗を流す、これをすきとり柳の小枝にて三七 二十一日間、トローリトローリと煮つめましたるがこのガマの油。
このガマの油の効能は、ひびにあかぎれ、しもやけの妙薬、まだある。大の男の七転八倒する虫歯の痛みもぴたりと止る、まだある。出痔いぼ痔、はしり痔、はれもの一切、そればかりか刃物の切味を止める。
取り出したるは夏なほ寒き氷のやいば、一枚の紙が二枚 二枚の紙が四枚 四枚の紙が八枚 八枚の紙が十六枚 十六枚が三十と二枚 三十二枚が六十四枚 六十四枚が一束と二十八枚ほれこの通り、ふっとちらせば比良の暮雪は雪降りのすがた、これなら名刀も一たびこのガマの油をつける時はたちまち切味が止る、おしてもひいても切れはせぬ。
と云うてもなまくらになったのではない、この様にきれいにふきとるときは元の切味となる。
サーテお立合 この様にガマの油の効能が分かったら遠慮は無用だ、どしどし買って行きやれ。

  




ここでわたしの「遵法精神」が騒ぎます。

 

『その1』
これって「薬事法違反」じゃない?(調べてみたら本当に薬事法違反でした。笑ってしまいました。)

『その2』
刀を持っている。「銃刀法違反」

『その3』
「ガマを四面鏡ばりの箱に入れると、自分の姿を見て驚きターラリターラリと油汗を流す」
これ絶対ウソだと思うよ。というわけで「詐欺」

『その4』
どこで商売してんの? 許可とってんの?
「道路交通法違反」

『その5』
すぐに警察がやってくる。あなたはきっと逆らう。
「公務執行妨害」

『その6』
やくざもやってくる。
「こら、どこで商売してんだ。この野郎。」
あなたは暴れる。
「傷害」もし仲間がいたら「暴力行為」

『その7』
「そこのおばあちゃん。ガマの油塗ってあげるから手を出してごらん。」
あなたはおばあちゃんの手を取る。
「キャッチ行為」

『その8』
「そこのおねえちゃん。あんたもいい油とれそうだねぇ。」
軽口をたたく。
「セクハラ」

『その9』
刀を持って「どんどん買え。」って・・・コワイ。
「恐喝未遂」

『その10』
「あー疲れた。ちょっと一服。」
残念でした。東京都内では外で煙草は吸えません。
「たばこ条例違反」

『その11』
中学生の息子に手伝いさせた。
「最近しんどくてねぇ。息子が手伝ってくれるんで助かるよ。」
「青少年健全育成条例違反」

 

 

・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

凶悪犯じゃねえかっ!

 

 

これだけで済むと思ったら大まちがいですよ。

「わたしゃ子供のころからカエルを見たらひっくり返るんじゃ。そしたらびっくり。こんな所でガマの油なんぞを売っておる。ああコワイ。ああ倒れそうだ。ああ死ぬかと思った。この精神的苦痛をどうしてくれる。50億円よこせ。」

アメリカ帰りのババアが民事訴訟を起こすかもしれない。

 

まだまだありますよ。
PTAです。
ええ、ええ、そりゃもうPTAは黙っていませんよ。

「なぁ〜んてことざます! ガ、ガマの油なんか塗ったらうちの子に限って野球はチームワークざんす〜!」

 




 


おそろしい勢いで世の中はしなびていきます。(上のダイコン参照)
でも、こういうのはどうなんですかねぇ。
「たばこ条例」なんか、これをわたしの郷里で施行すればまずまちがいなく「百姓一揆」が起きますし、わたしの息子が小学生のころ「酒を買ってきてくれ。」とお使いにやったところ、「身分証明書を見せろ。」と言われてそのまま帰ってきたことがある。
まったく・・
お使いにやることもできゃしない。

 

どうもキマリが増えてこまったものです。
多過ぎて覚えられん。第一こんなの全部覚えるころには、わたしの寿命は尽きております。
でも、わたしゃ思うんですけどね。
世の中で一番キマリが多い場所ってどこだろうと考えてみたら、これはもう絶対にここしかないという場所がありました。
それは、刑務所であります。
つまりキマリが多いというのは、住民のレベルが低いということです。
うだうだとキマリキマリと叫んでいる人は、半年くらい「体験入獄」させればいい。刑務所で散々イジメぬかれてゲンナリ痩せ細って帰ってくることでしょう。
いけませんなあ。
文化国家日本が刑務所をめざしていてはダメですよ。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

さてビリヤードです。

 

「プッシュコール」というのがありまして、現代ルールではチョーク1個の幅以内は「プッシュ」を宣言すれば自由に撞くことができます。
ちょうどルールの話になりましたので、この「プッシュ」の歴史なんぞを語ってみましょうか。

 

30年前はタッチボール以外はほんの1ミリ離れていてもキュー先をあさっての方向に向けなければファールでした。
そのうちに本場アメリカから帰国した人が異議を申し立てます。
「1ミリや2ミリくらい離れている球は、アメリカじゃそのまま撞いているぞ。」

 

ということで、1ミリや2ミリ離れている程度だったらそのまま撞いてもOKになりました。
27〜8年くらい以前だったでしょうか。
ところがこれが、後に歴史的事件に発展するのです。
まず最初にささやかな疑問が生まれました。

「1ミリや2ミリはOKなんですね。」
「んだ。」
「じゃ、3ミリだったらどうなんです? セーフ? それともファール?」
「うっ。さ、3ミリなら・・・ま、まあ、セーフでいいんじゃないの?」
「ふーん。じゃ、4ミリだったら?」
「うっ。」
「5ミリは?」
「うっ。」
「じゃ、1センチは?」
「1センチはいかんばい1センチは。あんたそりゃ法外ってもんずら。無茶こくでねぇ。」
「じゃ、結局7ミリくらいってこと?」
「うっ。・・・大体あんたねぇ。そういう神経質なことじゃいかんよ。常識でやれよ、常識で。」

まさか審判がノギスを持って距離の計測をするわけにもいきませんので、このころは審判によってセーフだったりファールだったりしたものです。
まあ、のどかなもんですな。
そういう時代でした。

 

数年が経ちました。
この頃になりますと全国大会のような規模の大きい試合がだんだん増え、それに従って外国選手が参加するようになってきました。
さあ大変です。
審判によってセーフだったりファールだったり、そんなわけにはいかなくなってきた。
ルールを統一する必要に迫られたわけです。
ここで前代未聞の珍ルールが誕生します。

「プッシュコールをすれば全部セーフ」

いいんですよ。
じつはわたしは、このルールを支持しております。
ところが不幸なことに解釈が誤っておりました。

 

「プッシュコールをすれば全部セーフ」=「プッシュコールをしなければ全部ファール」

 

ああ・・・
パープリンはどこに行っても最低ひとりはいるものです。
ある試合で50センチくらい離れた球を引いたプロ選手がおりました。
さすがにプロだけあって、それは見事な引き球でした。
ところが、

 

 

「ファール!」

 

「おい! 何で今のがファールなんだ?」
「プッシュコールがなかったからです。」

 

ああ・・・

 

このプロ選手は怒りました。
そして観客でにぎわう大舞台で、かれは報復します。
歴史的事件の瞬間。
それは「センター初球」でした。
かれは会場中のクーラーが全故障するほどの大音声で叫んだのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

「プッシュします!」

 

 

観客の間から失笑が漏れました。
面目丸つぶれになったプロ協会は、これを期に本格的にルールの統一に取り組みます。
それが現在の「チョーク1個分以内はプッシュコールで自由に撞いてよろしい。」ということなのです。
でもイタズラ好きなわたしはたくらんでおりますよ。

 

 

 

 

幅50センチのチョークを別注で作る。

 

 

おもしろいことになりそうです。

 


 
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