当HPにこつこつ書いてきた「ハスラー列伝」がCUESに連載されだしてから3年以上が経ちます。
じつのところ最近になって創作意欲が衰えてきましたので、このあたりで少し休憩するつもりです。
この連載を始めた当初から最終回は片岡久直に決めていたのですが、わたしとしては「現役選手は書かない」ことをモットーにしているので、まずは彼が引退してくれないことにはどうにもなりません。
「人事をつくして天命を待つ」などと申します。
やるべきことをやったらあとは運を天にまかせて心静かに待て、というような意味だそうです。
悟りの境地といえましょう。
しかし、そんな呑気なことを言っておれない時があります。
人事をつくした以上どうしても勝ちたい。
同じことなら負けるより勝つ方がいいのですから、これは仕事であれ遊びであれ「勝つために人事をつくしている」と考えれば心静かに天命を待っている場合ではない。
天命をねじ曲げてでも勝ちたい
これが人情というものです。
どうすれば天命をねじ曲げることができるのか?
「溺れる者は藁にもすがる」
ここで登場するのが「必勝グッズ」であります。
上の写真の扇子はわたしの必勝グッズです。
「空心」
平成十二年十一月二十二日
女流本因坊
祷 陽子(いのり ようこ)
これは平成12年に囲碁の女流プロ祷陽子さんが女流本因坊のタイトルを獲得した直後に書かれた自筆の扇子です。
この年の暮、祝勝会を兼ねて旧「木谷会」のメンバー70名ほどで伊豆伊東に一泊旅行に出掛けたとき囲碁大会が開かれ、それに優勝して陽子さんから直接いただいたものです。
こんな縁起のいいものを、しかも一応実力で勝ち取ったわけですから「ゲン」がいいに決まっている。
「この扇子は額に入れて飾るのがいいですか? 使うのがいいですか?」
「あっ、いえいえ。ぜひどんどん使ってください。」
あれから7年が経ったと思うと感慨深いものがあります。
この扇子を、その辺でヘボ碁を打つ時に使うのはもったいないので、現在はもっぱらビリヤードの試合に持参してパタパタやっております。
テレビなどで囲碁や将棋のプロが対局中に扇子をパチンパチンと鳴らしている姿を見られた方も多いと思いますが、これは「思考のリズム」といいますか、深いヨミに入った時のパチンパチンは「天の福音」なのかもしれない。
ひとりの女流棋士が女流本因坊を獲得した直後に扇子に「女流本因坊」と揮毫する。
そのときの陽子さんの「感動」と飛び上がりたいほどの「うれしさ」、それにちょっとだけ「気恥ずかしさ」。そういうものの全部がパチンパチンと鳴らすたびに伝わってきて、これはわたしの「宝」なのです。
ちなみに扇子を鳴らす音は「パチンパチン」と表現されることが多いようですが、この扇子は竹と和紙で作られていますので、わたしの耳にはもう少し地味に「パトンパトン」という風に聞こえます。
まあ、何かグッズを身に付けたからといってビリヤードの技術が向上するはずもありませんが、
「キューケースを換えたとたんにマスワリができた。」
「携帯電話を換えたらカノジョができた。」
こういうのはありそうな話です。
各種「必勝グッズ」を紹介してみました。
色々あるものです。
上左の紙コップはタダ者ではありません。「自民党必勝カップ」だそうです。
気になるのは右下の「麻雀必勝御守」です。
「これと同じ御守を麻雀の4人全員が身に付けていたらどうなるんだ?」などと屁理屈を言ってはいけません。
そう。
「気は心」です。
それでもどうしても納得できない方がおられましたら、同じ御守をもうひとつ買って、それを折りたたんでこの袋に入れてみたらどうでしょう。
『麻雀必勝御守×2』
のできあがりです。
どうです?
気にいったのはありましたか?
えっ?
どれも気にいらない?
そうですか・・・
仕方ない。
あまり公表したくないのですが愛読くださる皆さまのために特別にご紹介いたします。
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